第1章 イメージチェンジ【岸辺露伴】
「仮に冗談ではないとして、君がボクにどのような意味でそう言ったのかは知らんが……どちらかといえば、ボクは思慮深い大人の女性が好みだな」
「しりょぶかい?」
「そうだな、例えば……黒く真っ直ぐな髪に白のワンピースが似合うような……カフェテラスで読書をしている姿が絵になるような、そんな女性かな」
適当に、以前取材も兼ねて読んだ漫画のヒロインを頭に浮かべながらツラツラと話す。彼女と正反対の特徴を述べたら、不貞腐れて帰っていくという算段だ。
フン、さぁ早く帰りたまえ。ボクはありふれた高校生の相手をしてやるほど暇じゃあないんだよ。
「……分かった、今日はもう帰る」
「なんだ、随分とあっさりじゃあないか。まぁボクにとってはこれほど好都合なことはないが」
彼女はボクの嫌味には返事せず、鞄を持って一言「失礼しました!」とだけ残し逃げるように部屋を出ていった。様子がおかしいとも思ったが、どうせ明日になればまたケロッとした顔で『ろはーん!漫画捗ってる〜?』などとお決まりの言葉を携えてやって来るのだろう。
____結論から言えば、その日から彼女はボクの家にパッタリと来なくなってしまうのだが。