eat me!!【HUNTER × HUNTER】【短編集】
第1章 不意打ち【ヒソカ】
一瞬、あるいは数秒だったかもしれないが、その間私は何が起こっているのか分からなかった。バンジーガムで顎を持ち上げられたかと思うとさっきより更に近くなったヒソカの顔、唇の柔らかい感触、それがヒソカにキスされたのだと気づいた時には後の祭りだ。
「い、今何して…」
「何って、キスだけど♠こう見えて僕は、君が思っている以上に君の事気に入っているんだけど…あんまり伝わっていなかったみたいだね、残念♦」
言葉に対して態度が全くと言っていい程伴っていないヒソカは、心底楽しそうに笑った。
「うん、でも、これはいい反応が見れたな♠僕的には挑発したつもりだったんだけど、嬉しい誤算だ♥」
「…調子に乗るのも大概にして」
顔に熱が集中しているのが分かる…今の私の顔は、きっと茹でダコのように真っ赤だろう。
それでも、反抗せずにはいられなかった。
「今日のところはもう帰るよ、いいもの見れて満足したし…♠次会った時は僕と闘ってくれよ、セレナ♥」
ヒソカが出ていったのとほぼ同時に足の力が抜け、床にへたりこんだ私が
「………まいったな♦」
なんて1人で呟くヒソカのことなど知る由もないのだ。
「…もう二度と来んじゃないわよ、変態奇術師!」
花瓶には、バラが一輪だけ差してあった。