eat me!!【HUNTER × HUNTER】【短編集】
第2章 弾けて溶かして。【キルア】
「…誰か気になる?」
「気になるに決まってるよ」
「誰だと思う?」
俺がニヤリと笑ってもったいぶれば、セレナはストローでソーダをかき回し「もったいつけてないで教えなさいよ」とあからさまに怒ったフリをした。
「セレナ…って言ったら、どうする」
「…は?今なんて?」
「ま、これ本心なんだけど。俺、セレナのこと好きなんだよね。もちろん異性として」
セレナは心底意味がわからないという風に、先程まで忙しなくクリームソーダを弄っていた手を止め目の前の俺を見据えた。
「…それ、本気?」
「俺はいつだってあんたに対して真面目に接してきたつもりなんだけど。ていうか、俺がこんなことでふざけると思ったのかよ」
「いや、思わないけど…でも、突然すぎるといいますか…思考が追いついていないといいますか」
「あんたの俺に対する気持ちが俺と同じじゃないことも知ってる。だから、返事はすぐじゃなくていい。まぁ、せいぜい俺の事で悩みなよ」
散々あんたのことで悩まされたんだ、次はそっちが悩む番だぜ。大体、他の男のことで悩むあんたが気に食わなかったんだ。その脳内を俺で満たしたかった。一緒にいる時ぐらい、俺を見て欲しかった。まぁ、俺はあんたのことで悩むの嫌いじゃないけど。寧ろ好きだけど。
「…う、ん。考えさせて」
そう言いながらそいつは真っ赤な顔を下に向けて、クリームソーダをズズっと吸い上げた。
…なんだ、俺の前でそんな顔もできんじゃん。自分でも自然と口角が上がるのが分かる。
なぁ。少しぐらい期待しても、いいよな?
俺はにんまりと笑いながら、残りのクリームソーダを飲み干した。