第5章 返り討ち
こんな気持ちになるならこなきゃよかったって、帰り際、いつもちょっと思う。泣きそうになるくらい離れるのが切ないから。
でも
でもやっぱり、会いたいの。一秒でも、本人に会いたい。顔が見たい。声が聴きたい。翔ちゃんを、直に感じたい。
だけど…
帰らなきゃ。子供じゃないもの。ちゃんと、自分のためにも、ちゃんと…。
「…いっそタイマーセットしとけばよかった」
「色気ないこと言うなよ(笑)」
…うん。
十分、もう。
そのやわらかい笑顔を見られただけで
もう
「…気持ちは…る…」
「え?ごめん、何て?」
「気持ちは。いつも、お泊り、してるよ…?」
「…」
「…」
「カラダは~…」
「無理!」
「…そっか(笑)」
「…」
わかってくれてるから。翔ちゃんは無理なことは無理強いしない。そこはジェントルマンなんだよね、ホントに。
でも
時にはそういうのも超えたワガママみたいなのも言ってほしい。そのくらい、私に気持ちがあるって、感じたい…
なんて
ダメなんだけどね、どっちにしても。どれだけ言われたって、ダメなものはダメ。わかってるよ。いい歳の社会人ですからっ!