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フェアリーテイル 【雷竜と漆黒】 完結

第3章 赦し


自室に4人を寝かせる。

「久しぶりね。ラクサス、エバ、フリード、ビックスロー。」

 私の声は眠っている4人には届かないはずだが、私はそっと続けた。

「私が悪魔に加担していたと知ったら、貴方たちはどんな顔をするのかしら。それにしてもテンペスターなんかにやられるなんて。でも安心して、こういうのは得意なの。」

 全神経を注ぎ込んで1つの水球を形成する。その水球から4本の細い管が伸びて、ラクサスと雷神衆の静脈に入っていく。彼らの体内にある水分を介して魔障粒子を除去しようというのだ。この人数を治療するというだけでもかなりの負担にはなる上、ラクサスの肺は特に汚染が酷かったため、施術は2時間にも及んだ。終わった後は全身が汗で濡れ、床に座り込んだまま動けなかった。グル、と隣で見守っていたリオレイアが心配そうな目を向ける。

「大丈夫。いい子ね、ありがとう。」

 これでもう大丈夫のはずだ。しばらくは戦闘に参加できないが、そこはまぁやられたとか適当に報告しておけばいいだろう。全てが終わった時に報告する人がまだ生きていればだが。

 私はモンスター召喚以外にも魔法が使える。水の滅竜魔法だ。かつてリヴァイアサンという竜に教えてもらったものだ。冥府の門のやつらは知らない。彼らのいる前では使うことができなかったため、久しぶりに魔法を使ったが問題なく使えるようでホッとした。もたもたしている場合ではない。彼らの目が覚める前にここから立ち去らないと。私はリオレイアに跨るとその場を去った。彼の目が覚めていることには気づかずに。

「…クレア 。」
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