第6章 雪山に轟く
「油断してんのはてめえだ。」
地鳴りと共に眩しい雷が奴とキリンを襲う。
「ぐおおっ!!」
「敵が1人だけだと思ったか。」
「カハハ…。良い“魔”だ。俺はベイスト。魔導士、名は。」
「ラクサス。」
「大した魔力だが、この獣との相性は悪いみたいだなぁ。」
キリンの帯電が終わり、空を引き裂くような音が鳴り響いて蒼がラクサスに刺さる。しかし…
「なっ!!」
「こりゃあ、うめえ雷だな。」
「お前、まさか。」
「雷竜の咆哮」
キリンとベイストに咆哮が直撃する。キリンには大したダメージはないようだが、ベイストの方はそういうわけにもいかないようだ。
「…滅竜魔導士か。」
「相性が悪ぃのはお前の方もだ。そいつにダメージが通らなくても、てめえごとやっちまえば済む。」
「そう簡単にいくと思うか?」
「何だと?」
バキバキとベイストの身体から有り得ない音がする。悪魔化だ。
「エーテリアスフォーム。これでお前の雷は通用しねぇ。」
「キリンの能力を取り込んだわけか。」
「雷耐性だけだ。俺の呪力はいくつもの魔物の特性を思うままに編成できる。魔物の使役はそのついでだ。」
「厄介だな。」
「九鬼門が居なくなっちまったからなァ。次は俺が冥府の門を再建する。」
「その九鬼門を潰したのは俺らだって知ってるか?」
雷を纏った重い一撃がヘイストの左頬を直撃する。しかし…
「カハハ…効かねぇなあ。」
「がっ!」
いとも簡単にラクサスの脇腹から鮮血が溢れる。あの腕は。
「岩か。」
「ああ、そうだ。あの魔物の雷耐性とこの岩があればてめぇの雷もパワーも関係ねぇ。」
「…クレア。」