第1章 喧騒
「お前…クレアか?」
「久しぶりね。エルフマン。」
「まさか…どうしてお前がここにいんだよ!?」
「フフッ、いまでも喧しさは健在のようね。どうしてもこうしても当たり前じゃない。」
左鎖骨についた冥府の門の紋章を見せながら笑う。どうかうまく笑えていますように。
「あなた達の敵だからよ。それよりもいいの?私にばかり構っていて。」
「なっ!?ガッ…!!」
突如エルフマンは何者かによって叩き飛ばされ、壁に打ち付けられてそのまま意識を失った。いや、正確には何者かの尻尾によって。
「全身のテイクオーバーは出来るようになったみたいだけど、まだまだ弱いわね。よくやったわ、ドスジャギィ。」
グルル、と喉を鳴らしながらすり寄ってきたドスジャギィの顎を撫でながら褒めてやる。周りには隠れていたジャギィノスやジャギィたちもいる。
「まぁ、でも第3区画の被害が全てエルフマンの仕業だとしたら、成長はしているのかもね。」
私が命じられたのはこの区画の被害を食い止めることだけだ。こいつを殺すことではないし、まぁしばらくは起きないだろう。このまま部屋に戻って次の指示を待とう。そう思い、私は再びゆっくりとした足取りで廊下を引き返した。この突然の喧騒が、私のここでの生活を覆してくれるのではないかと感じながら。