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フェアリーテイル 【雷竜と漆黒】 完結

第6章 雪山に轟く



「乗り心地は?オニイサン?」
「…。クソ…。」

 彼より優位に立てる機会なんてこんな時しかない。ここぞとばかりにニヤニヤしながら聞いてみる。もちろん汽車といっても個室だから彼のこんな姿が他の乗客に見られることはない。

 因みに私は冥府の門に入った際に微量の悪魔因子を流されたことによって何故か乗り物には酔わなくなった。

 しまいには彼も人がいないことで強がるのを諦め、残りの乗車時間を私の膝を枕にして過ごすことになった。


 流れていく景色がだんだんと白くなっていった頃、汽車は停止した。こんな深夜にこの駅に降りる人はいない。汽車のドアが開くと刺すような冷気が暖房に慣れた体をすっと冷やした。

 駅員もいないと言うのに強がって何でもないような顔をして駅に降り立った彼が可笑しくて、ニヤついてしまう。

「…いつまで笑ってんだ。」
「ごめんって。もう笑わないから、機嫌治して?ね?」
「ニヤついてる口隠せてねぇぞ。」

 そんな軽口を叩きながらも私たちは降り立った駅のある街にとってあった宿に辿り着き、その日はそこで休んだ。その街からブルム集落までは徒歩になる。



 翌朝、軽く朝食をとってから念のために野営に必要な食料を買い足しブルム集落へと出発した。

 この街からブルム集落までは何事もなければ、1日で到着する予定だが何分この街を出ると魔物が多くいるらしい。そいつらの対応をしながらだと野営しなければならない可能性があった。
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