第6章 雪山に轟く
ラクサスとのいざこざもひと段落したある日のこと。
ガヤガヤと騒がしいギルド内で私はジェニーと話していた。
「クレアってS級の仕事もできるんでしょー?今度連れて行ってよ」
バチンっと音がしそうなウィンクをして頼んでくるジェニー。さすがにS級じゃない人を連れていくことなんてできない。
「もちろん!」
「え!ホント!?」
「マスターボブに許可をもらってきたらね。」
「…ダメってことじゃない。」
「そりゃそうよ。貴方の実力はわからないけれど、仲間を危険にさらす気なんてさらさらないもの。」
「とかいって面倒くさいだけじゃないの?」
「まーね。」
「もういいわ。ラクサスに頼んじゃうから。」
「俺は連れてかねぇぞ。」
急に頭にずしりと重みが加わった。
「「ラクサス。」」
「クレア、仕事行くぞ。」
「私は連れてけないのにクレアはいいわけね。」
分かりやすくジェニーが拗ねる。
「そういうこった。」
クエストボードに向かいながら当然のように言う。ギルドの規則だからだとは分かっていても少しの優越感を感じている自分に苦笑しながらジェニーに声をかける。
「また一緒に仕事行きましょ。普通のね。」
「仕方ないかぁ。じゃあね~。」
「…で、どの依頼にするの?」
「これだ。」