第5章 もう一波乱?
突如腰に逞しい腕が周り、私は彼の脚の間に挟まる形でソファーに沈められた。耳元で彼の低い声がしてびくりと肩が揺れる。
「妬いてたのか?」
「…悪いの?」
もう諦めた。こうなったら彼は私を離してくれない。私の狼狽える顔をみて満足するまでは。
「いいや、今日はヤケに素直だと思ってよ。」
「こんな女の何がいいんだか。ルーシィやカナの方がよっぽど可愛いじゃない。」
「興味ねぇな。」
「あら、ファントム戦での言葉はウソだったってわけ?」
「…何で知ってんだ。」
「否定しなさいよ、馬鹿。」
唇を噛みしめて涙をこらえる。もう、最近泣いてばかりでこんなに弱い自分が嫌になる。お腹に回っていたラクサスの手が顎をつかんで上を向かせられる。真っ直ぐな目にのぞき込まれて目を逸らせなくなった。
「クレア、俺が好きなのはお前だけだ。横にいて欲しいと思ってるのもな。」
「…でも」
「うるせぇ。」
有無を言わさず大きな手に腰をつかまれ体が反転する。彼の腰を太腿で挟む形で向かい合う。とたんに恥ずかしくなって降りようとするが腰に回った腕はそう簡単に離してはくれなかった。
「これだけ言っても分からねぇならもっと簡単にわからせてやる。」
「え?んっ!」
嫌な予感がした。彼はいつの間にか捕食者みたいな目になってる。首の後ろに大きな手が回って噛みつくように口が塞がれる。呼吸ごと食べられてるみたいで苦しい。解放されたときには息が上がっていた。
「ハァ、ハァ…。」
「ハッ。もう限界か?」
「うるさい…。」
「まだいけそうだな。」
凶悪犯ばりの顔で笑って私を抱え、そのまま寝室に入っていく。ベッドの上に沈められて深くキスをされながら、私はまたしてやられたとぼんやりと思う。それでもこの人を拒むことなんて私には出来ないし、むしろ求めてくれることに幸せを感じてる。キスの合間に服を脱がされながら私はもはや抵抗することを諦めた。