第5章 もう一波乱?
「…私の家。」
「ああ。」
しれっと答える彼。
「ああ、じゃないわよラクサス。なんで貴方がカギ持ってるの。」
「エバがくれた。慰めて来いってな。で、今度はなに拗ねてんだ?」
エバ、またか。あの子一体どっちの味方なの?ああ、そりゃラクサスよね。
「なんにも拗ねてないわ。疲れただけ。明日エバと仕事だから、帰ってくれる?」
思わず少し早口になっている。この人はそんなことにも目ざとく気が付く。
「オレにそんな誤魔化しきくと思ってんのか?」
ニヤリと口角を上げて笑う彼。分かってって聞いてるってわけね。
「…嫌い。」
「何だよ。言えよ。妬いてましたってな。」
顔に熱が集まるのが分かる。何ニヤニヤしてんだこいつ。
「…どうせ私なんて魅力ないわよ。そんな私に構ってる暇あるなら天馬にいるお姉さん達と遊んで来たらどうなの?」
ああ、また可愛くない言葉が口から出てくる。ただでさえ可愛げのない容姿なのに。今度こそ愛想つかされるわ。くるりとソファーに背を向ける。彼の顔を見ていると私の中の醜い気持ちを全てぶつけてしまいそうだった。
「…うあっ!」