第5章 もう一波乱?
「あ~あ、クレアってばもう限界みたいね。」
「…なにが?」
「アンタ気付いてないの?凄い睨んでるわよ。ラクサスのこと。」
「ラクサスが悪いわけじゃないのはわかってるけど、見てて気分のいいものでもないわ。帰る。」
「あ、ちょっと!」
「また明日一緒に仕事行きましょ!」
「…分かったわ。じゃあね。」
アパートまでの道を歩きながらいろんなことが頭を過る。
私の祖先はこの大陸よりも遥か東の国からの移民だ。つまりこの大陸の人たちとは外見に大分差がある。堀の浅い顔立ちに切れ長の目、黒色がベースの髪と目。子供に見間違えられるくらいに低い身長。おまけに体つきにもそれほど凹凸があるわけではない。おかげで初対面の人には未成年だと思われることが多かった。
ヒビキやレン、イヴは神秘的だと言ってくれるけれどどう考えてもお世辞だ。ルーシィやミラ、エルザとは大違いだ。特にミラとは。
嗚呼、またネガティブな思考に行ってしまう。数年前の妖精の尻尾と幽鬼の支配者との抗争を思い出した。ルーシィがオレの女になればとか、カナに脱いでみろだの言ったことを。もちろん本気だとは思ってないけど、それでも今の私にはなかなか堪える。
そんなことを思いながらアパートに辿り着いて家のドアを開けるとソファーに今一番会いたくない人がいた。