第4章 平穏?
耳元で低い声が私の返事を遮った。ラクサスだ。
「いきなりなんなの?」
声が震えそうになるのをこらえて片眉を吊り上げる。こんなことで引き下がる彼ではないけれど。
「俺が最初に取ろうとしてたんだよ。しかもお前一人には荷が重いだろ。」
「冗談。一人で十分よ。」
「お二人ですね。受理いたしました。いってらっしゃいませ。」
「なっ!」
受付のお姉さんは何やら知った顔で登録を済ませ、にこやかに私たちを送り出した。後ろではエバとビックスローがケラケラ笑っている。受付に要らないことを吹き込んだのは彼らのようだ。何より気に入らないのは隣のフリードもうむ、と頷いていることだ。
「モタモタすんな。行くぞ。」
「…はぁ。」
私は諦めた。どうせいつかは彼に伝えなくてはならない。それがちょっと早まっただけだ。心の準備はまだだけど。まぁ、この仕事中に言えばいいだろう。