第3章 赦し
彼の後について行った先にはみんながいた。ナツ、グレイ、エルザ、ミラ、レビィ、カナ…初めて会う子も何人かいる。果たして私はどうしたらいいのか。指先が冷えていく。ナツとグレイの間に私が吹き飛ばしたエルフマンとナブがいる。そして、マスター。
あの時から変わらない暖かい魔力が私の側を流れていく。そして…
「お帰り。クレア。ご苦労じゃったな。」
「…マスター。」
「クレア!!勝負するって約束どこ行ったんだよ!」
「おめぇもうボロボロじゃねぇか、ナツ!クレア、相手すんな。」
「クレア、久しぶりだな。元気だったか?」
いつもと変わらない言葉。いつもと変わらない表情。私が裏切ったあの日から。どうしてこの人たちは、こんなにも私を信じているのだろう。私は…彼らを傷つけたというのに。
「クレア、お前が手加減してくれてたのは知ってる。お前と戦闘になってなかったら他のヤツにやられてたかもしれねぇ。ありがとな。」
あの日と変わらない顔で、笑う。
「ラクサスたちを治してくれるんだったら初めからそういえよな!運んでやったのに。」
何の疑いもなく、彼らはただ私を信じると言う。その言葉が、態度が、そして笑顔が冥府の門に一人でいた時どれほど私の支えになっていたことか。
「クレア、お帰りなさい。」
二度と聞くことはないと思っていたその言葉を次々にかけられて、私の涙腺はとうとう決壊した。
「た…だいま。」
ごめんなさい、と謝るのはなんだか違う気がした。
ぐしゃぐしゃの顔で笑う。私の罪が償われたわけではないけれど、私には帰る場所がある。だから、今はこの幸せを嚙み締めよう。