第1章 First Love 1
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社会人になって、
そりゃ今までも恋はしたこともあった。
でもそんなトキメキなんかより
遥かにこのドキドキは大きくて
1年経っても、もっと好きになって
今は、声を聞くだけで
どの役かも、わかるようになった。
愛のパワー、、?笑
「ついに、明日…会える」
顔も知らないあなたに会うのは
正直、少しだけ怖い。
それでときっと
この想いは変わらない自信があるの。
だって声を聴くだけで元気になる、
ドキドキする、
ココロが踊る。
"うたのプリンスさま、、1stLIVE"
友だちさえも知ってるアニメで
ゲームから始まった歴史は長い
そんな作品が、イベントで
しかもLIVEとしてあるなんて!!
「音也くん、待っててね」
そう、寺島さんは
そのプリンスさまの一員で
ムードメーカーの一十木音也くん役
とろけちゃうような甘くて優しい声。
本当は応募するか迷って、
友だちが言うように、
もし、勝手に描いてしまった想像に
当てはめてしまうかもしれないし
それはそれで失礼だし、、
でも、やっぱり一度会ってみたくて
一度だけでもいい
この初恋に似た憧れに
踏ん切りをつけたくて。
…恋を忘れたわけじゃない
あまりにも寺島さんが好きすぎて
前に進めないから
遠い人なんだと、
現実ではないんだと、
諦めなくちゃ。
「あ、グミ買っとかなきゃ」
どこかの雑誌で、
"好きなもの♡グミ"
と寺島さんが言っていたのがきっかけで
外出するときはグミを持ち歩くのが
クセになって、
今ではもう欠かせなくなった。
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徒歩で行ける近くのコンビニ
たしか、ここには
新発売のグミがあったはず、、、
何味だっけ??
「「あった!」」
と、グミを手にしようとした
その瞬間に
かぶさった声……
ん?
この声って、、
「あ、すみません、お先にどうぞ」
寺「いえ、俺は大丈夫です」
「いえいえ、そんな」
寺「あー、でもほら、1個しか残ってないし」
「!!それなら私、違うところに行ってみますので」
寺「え…いや、ちょっと!!」
「、、、あ、あの!!」
寺「ッ、?!(やばい、バレた?)」
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