第1章 感は鈍いが運はいい【沙明】【裏】
結果、オネンネさせられたのは何も喋ってなかったレムナンだった。ま、俺にとっちゃ夜消されねーようにすりゃいいし。誰が凍らされても知ったこっちゃねーけどな。
俺は今日娯楽室へは行かない。
話し合いン時に雑談で変な汗かいちまったし、マイエンジェル(仮)の好きなヤツが誰なのか気になって頭から離れてくれねーからシャワー浴びて汗ごと洗い流そうと思った。
シャワー室に着き、個室の扉を開ける。
その時、俺はボーッとしていて中に誰かが入っていることに気が付かなかった。
「……えっ?」
中にいたのは。よくある風呂でバッタリ的な展開。
俺もほとんど服は脱いでたし、普段つけてるゴーグルとかネックレスとか諸々とってた。
はもちろんのこと生まれたままの姿。
こちらに視線を向けて胸を隠したまま固まっている。
数秒間の硬直と沈黙。先にその沈黙を切ったのは、
「わ、悪ぃ!」
俺だった。嫌われたくはねーし、この状況で謝らねー方が頭イってると俺は思う。
「えっ…!?そ、そんな…気にしないで」
少し戸惑いながら、は俺のミスを許してくれた。
俺がホッと安心したとき、
「…なんなら、一緒に入ってもいい、よ?」
爆弾を落とされた気分になった。
ハ?え?コイツ今なんつった?
「…パードゥン?」
「だ、だから…一緒にシャワー浴びる?って…」
どうやらジョークじゃねーようだ。マジで言ってんの?俺が途中でビーストになっても知んねーぞ?
とりあえず無言で中に入って鍵を閉めた。