第2章 異変【ラキオ】【裏】
「でも、それは間違いだった」
間違い……?
「君を遠ざけたことによって、余計に身体が求めるようになってしまった。恐らく、まだ汎化手術を施していないから、身体が勝手に女という性を求めてしまうンだろうと思っていた。だが、それも違う。女性では君にしか反応を示さなかった。これがなンなのか解明できない上に、収束もしないときたら、苛立ちが収まらない。だから君を呼ンで、収束させようと思ったのさ」
ラキオの話を聞いて分かった。
彼は汎化手術を受けていないが故に、異性を求めてしまうこと。それが私にしか反応をしないということ。そして、自惚れかもしれないけれど、それは。
「ラキオ。貴方は、恋をしているのかもしれない。それも、私に」
「……馬鹿げたことを言わないでくれないかな?僕がそんなもの持ち合わせるわけがないだろう。だいたい、僕は汎……」
「心はそうでも、身体が違う」
黙りこくってしまった。手の動きも止まった。今度は私が話す番だ。
「身体が求めていると言っているけれど、もしかしたら、心のどこかでも求めているのかもしれない。身体は心について行く。身体が動いてしまうのは、心が動いているのと一緒だと思うから」
「君にしては悪くない仮説だね。………現に、納得してしまったことがとても悔しい。確かに、君にしか反応しない時点で、もう僕の負けが決まっていたのかもしれないね。……まったく腑に落ちないよ」
いつも、ラキオに言われてばかりだから。今回はちょっと言い返せたかもしれない。