第2章 異変【ラキオ】【裏】
次の日。ラキオが住む大きな屋敷にやってきた。
所在は確認済みであり、彼は書斎にいるはずだ。
「ラキオ、いる?」
コンコンと大きな書斎の扉を叩いてこちらの存在を知らせる。すると、しばらくしてゆっくりと扉が開かれた。
「……ああ、君か。ま、入るといいよ」
「うん、お邪魔します」
ここはラキオの書斎兼自室。大きな机の近くに、ふかふかのベッドが置いてある。仕事をしてから、すぐに休めるように家具はまとめてあるのだろう。
「その辺りに座っておいて」
「はーい」
うーん、やっぱり高級感溢れるなぁ……それと機械的。
この屋敷は大きい割に使用人が全く居ない。面倒事と失敗を嫌うラキオは、人間よりも機械に仕事をさせる方がはるかに効率がいいと考えて、高性能な擬知体が稼働している。そのため、家事はほとんど擬知体から送られる群知体がこなすのだ。
今も、群知体が紅茶を運んできてくれた。
どうやら来客用にお茶は用意しているようだ。ラキオ自身は全てサプリメントと水で済ませているようだけど。健康面が心配だ。
「待たせたね。それで?ここに来たからには何か要件があるンだろう?さっさと言いなよ」
「ああ、うん。ちょっと気になったことがあって」
「続きを」
「ラキオ、最近何かあったの?」
「………」
彼は黙りこくっている。思い当たることがあるのだろう。ならばこのまま攻めるのみ。
「急に私を遠ざけたと思ったら今度は何事も無かったように接してくる、し……」
あれ……何だろう……だんだん眠くなってきた……。
意識が遠のく中、かろうじて聞き取れたのは……
「続きは研究に付き合ってもらってからだよ」
その言葉だけ。