第5章 competition
ーレオナsideー
今日のアフターの客は、業界では名の通った人物で、及川さんと言う。
彼はまだ34歳で随分若いのにいくつか会社を経営していてとてもやり手だ。
それでいて容姿も整っているため、うちの店でも女の子たちに大人気だし、本気で恋人にしようと狙っている子がわんさかいる。
しかし及川さんは、私一筋だ。
彼が私のことをどう思っていてどうしようと思っているかなどは私自身も把握している。
だからこそ…
非常にめんどくさくて…
けれどもちろん多額のお金を私に落としてくれるので感謝はしている。
まぁ彼の中では "投資" なのだろうが…。
「わあ…本当に及川さんってダーツうまーい」
「ふふっ…若い頃からよく通ってたからね」
「今でも若いよ?」
「もうおじさんだよ、君に比べれば。
はい、レオナちゃんの番。」
私は正直ダーツがあまり得意じゃないし、好きでもない。
でもそれでよかったと思った。
初々しく下手くそでいた方がこの人にとっていいし、
この人より上手いなんてことがあってもめんどくさい。