第5章 competition
すると当然、その容姿と頭脳明晰さも相まって、
瞬く間に売れ始め、あっという間にNo.3にまで上り詰め、
たった3ヶ月後にはNo.1。
そこからずっと、ここ3年間は不動らしい。
いろんな店から引き抜きの話もあったが、龍ちゃんは初めからこの街の1位2位を争う有名店に属していたこともあり、1度も店を変えていない。
ちなみに私はというと、ただ自分の存在価値を確かめたくて夜の街を選んだというだけ。
自分だけの力で、自分だけのために、
己の力を、魅力を、推し量れるのは唯一この世界しかないと思った。
初めの店では半年くらいでNo.1になって、そこからは不動。
店は2回変えた。
なんなら、何度変えてもいいとすら思っている。
どの店でもNo.1になりたいし、
自分の存在意義を見出したかった。
どの店でも私は価値があるのだと、
誰もに認めさせたいと。
思っていた以上に有名になってきて、雑誌などに呼ばれることも増え、化粧品やドレスやアクセサリーの広告塔になることも増えたけど、それはそれで自分の価値が高まっていくようで嫌ではない。
きっと私は、自分を認めてくれる何かを常に探してきたのだろうと思う。
必要としてくれる人が欲しい。必要としてくれる居場所が欲しい。
それが増えれば増えるほど、空っぽの私の中身が満たされていくのを感じた。
なのに…どうしてだろう。
増えれば増えるほど、もっともっとと欲してしまう。
まるでそれは、海に溺れて海水を飲み続け、ますます渇きを覚えるような無限のループ。
龍也という男はどうだろうか?