第4章 Jewel
「へえ。で、これ、何に笑ってるとこ?」
「はぁ?そんなの忘れたよ」
「嘘だ。絶対覚えてるだろ」
「…や、ホントに覚えてない。
てか、何?どうでもよくないそんなこと。」
…よくないんですけど。
ちょー気になってんですけど、こっちは。
だってこの笑顔だよ?
「レオナさんも何か歌ってください〜!」
俺の後輩がマイクでそう言った。
「あ、私もレオナさんの歌聴きたいですぅ」
「私も聞いたことないっ」
レオナは愛想笑いを浮かべているが、明らかに引きつっているのが俺には分かる。
というか、めちゃくちゃ疲れているだろう。
お前らとは違うんだよ。と言ってやりたくなる。
「レオナ嬢はお疲れみたいよ?」
「えええ〜1曲だけお願いしますよぉ!この際!」
……何がこの際だよ。
お前らが他に自慢したいだけだろ。
まぁ内心俺もレオナの歌は聞きたいけど。
「…じゃあ1曲だけ…」
「いえ〜いっ!」
「行っちゃってくださいレオナさんっ」
デンモクを渡されてレオナが曲を選び出した。