第1章 desire
「とにかく、篠崎社長も、やっちゃんのこと伸びる男だって褒めてたんだよ?素直に受け取ってよ」
「あ…ありがとうございま…す…ですっ」
「今度ちゃんと美味しいもの食べに連れてくよ。やっちゃんが貯金に励んでるのは知ってるし」
「ひぇぇえっ!」
変な声を出しながら顔を赤らめている。
こんな所も実におもしろくて、弄ってやりたくなる。
「じゃあね。お疲れ様。」
「ははははいっ!お疲れ様っしたぁあ!」
夜中にあまり大きな声を出さないでよ。
と思うが、心底可愛らしいので私は何も言わない。
マンションに入る前に1度振り返ると、やっちゃんはまだ頭を下げ続けていた。