第4章 Jewel
ー龍也sideー
レオナの仕事をしている姿は初めて見た。
あんなふうに360度人が変わるなんてなぁ
って…それは俺も同じか。
終始笑顔で、時折、艶めかしく懇願するような表情を浮かべ、しかし気付かれないように周囲に気を配っているのが俺には分かる。
自分の客以外にもだ。
ボーイ、嬢たち、空いているグラスや散らかっているテーブルがないかどうか、盛り上がっていない卓、気まずそうな卓はないか、困っている嬢は?ボーイは?客は?
この空間にいる全ての人が心の底から満足出来ているかを常に客観的に見ている。
あのタイプの客にはこの子…
などといった具合にボーイに指示することもあるのだろう。
そういう彼女を客観的に見ている俺も大概だ。
それにしてもうちに負けないくらい豪華で良い店だ。
この店に来たのは初だから、来られてよかった。
しかも少しでもレオナがついてくれたし、あ〜とりあえずもう普通に満足かな。
そもそもちょっと顔見に来た程度だし。
なのに俺らがレオナのアフターもらっちゃっていいんかな。
まぁ彼女のことだから平気か。