第3章 promise
「……吸う?」
「…うん。」
龍ちゃんは私にタバコを1本渡すと、ジッポを両手で構えて火をつけてくれた。
まるでお客様にするかのような流れる動作。
当たり前だけどとても慣れている。
「パーラメントが好きなの?」
私は煙を1度吐いてから聞いた。
彼も煙を吐きながら言った。
「昔さぁ、俺がまだ高校生の頃、ホストみたいな人たちが…いや今思えばどう見てもホストだよな、あれは…。が、道でタバコ吸ってるの見かけて、なんかカッコイイ〜とか思って。で、そいつらがポイ捨てしていった空の箱を見て、それがこれだった。」
「へえ」
「でも俺そもそも接客中だって吸わないし、こうしてたま〜にしか吸わないし、まぁ要は吸えればなんだっていいんだけど、初めて買ったのがこれで、それからずっとこれ。…にしても、レオナはタバコ吸うんだね?」
「私も接客中は吸わないし、たまにしか吸わないよ?持ち歩いてすらないし」
「へぇ。おんなじってわけね。
てかレオナのタバコ吸う姿はなかなかクルもんがあるよ。」
「なにそれ」
「すごく絵になるよ」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
私たちは同時に笑った。