第2章 encounter
彼はとても明るくて丁寧な言葉遣いだった。
ホストへ来たのは初めてじゃない。
だいたいのホストは初っ端からタメ口で馴れ馴れしかったり、バレバレの色恋を使ってくる。
「それにしても、レオナさんが来てくれるなんてすごく光栄。あ、〇〇雑誌見ましたよ。あの赤いドレスすごく良かった」
そんなことまで知っているんだ。
よく覚えているな、ドレスのことまで。
正直私は何ページの何のことを言っているのか分からなかったけど、赤いドレスと言われてなんとなく察した。
「あぁ…あれ…私がプロデュースしたってことにされてるやつね」
「あ、違うんですね?」
「違うね」
「ふふ、分かります。僕も、メンズファンデの広告塔にされるために勝手にそうされてましたから。開発会議なんか1度だって参加したことないのに」
私が笑うと、龍也は一瞬驚いたような顔をしたあと、目を細めてにっこり笑った。
あぁ、さすが夜の帝王。
この笑顔には女はイチコロだろう。