第11章 hesitation ■
「…あ…… 真珠…っ、そのっ…
付き合っても、もちろん仕事は今まで通り続けていいよ。俺は真珠を応援したいからさ。変にそういう束縛なんてしたりしない。…そういう理解はあるつもりだよ…」
私が涙を零し始めたからか、
焦ったように言ってきた。
「……俺は… 真珠のことは恋人として、そばにいてほしいし、そばにいたい。…ダメかな。」
龍也…ダメだよ……そんなことしたらプロのホストじゃないよ。
…プロ失格だよ。
私のせいで……
私はこぼれる涙はそのままに、
強く手を握り返した。
震えていて、上手く力が入らないけど。
「…ダメだよ…ダメ…だよ龍也…っ…」
龍也の顔が切なく歪んでいく。
「…… 真珠……頼む。
素直になって…」
そう言って抱きしめてきた龍也を押し返そうと力を込める。
しかし、私の体を…私の心を逃すまいと、
力強く包まれた。
「っ…りゅっ…や…やめてっ…!」
ビクともしない龍也の身体。
私の抵抗は全く意味をなさない。
「…っ、やめない。
ねぇ俺のこと…ホントはどう思ってるの?」
「やっ……」
「頼むから素直な気持ち…聞かせて… 真珠」
「っ…私は真珠じゃ、ないよ」
「真珠だよ。俺は今、真珠と話してる」
「違うっ…私はレオナで、あなたは龍也…
出会ったときからずっとっ…」
そう…出会った時から今までずっと、
私たちの関係は……
「俺が抱いたのは真珠だよ…
今抱きしめてるのも真珠。
俺が大好きなのも… 望月真珠」
私はますます止まらなくなる涙を流しながら、
必死に龍也の体に抵抗する。
それでもますます強く抱きしめられていく。
その温もりが切なくて…暖かくて…
苦しかった。
「…真珠は俺のそばにいたくないの?」