第11章 hesitation ■
ーレオナsideー
こういう関係にはなりたくない。
と言った龍也の言葉に、私は傷付いた。
……て…
え?
何傷ついてるの?私…
いつか…
いつかこんな日が来ると思っていた。
そっか…
そうだよね。
水商売をする上で、やっぱりこんな関係の異性と半同棲生活なんて、
心がかき乱されたり、冷静な判断ができなくなったり、甘えが生じたりしちゃうから…良いわけない。
たまに身体を繋げたりしちゃうのも、ますますおかしな関係になっているのは事実。
正直私も、このままの関係はダメだと思っていた。
体の関係を持ってしまった時点で…
これはもう…今までの私たちじゃない。
これでもう…
私たちの関係は終わりか…
起き上がって布団を出ながら、なぜだかとてつもない虚しさが襲う。
そんな滑稽な自分に、彼には気づかれないように笑った。
滑稽だ。
滑稽すぎる。
私はキャバ嬢なんだよ?
しかも、長年プロとしてやってきたつもり。
なのに……
1人の男なんかに何心乱されてんのよ。
現に、龍也はしっかりとちゃんとしたホストとしての選択をしようとしてるじゃない。
本来なら私から言うべきことだったはずなのに。
先に言われてこんな気持ちにさせられて、ばかじゃないの。
失格だ。
完全にプロ失格。
また新しく、1からやり直そう。
次は、こんなふうに誰かに寄りかかったりせず、
今まで通り…ちゃんと1人で頑張る。
そうだ。
これを機に店を変えるのもありかもしれない。
うん。そうしよう。
しかし、
「違う」
そう言って腕を掴まれた。
驚いて彼を見ると、
彼は悲しそうな、でも、真剣な目をしていた。