第11章 hesitation ■
レオナは俺の頬を大事そうに包み込んだ。
俺が目を合わせると、
レオナは優しく眉を下げた。
「そんな顔して……」
そう言われて俺は、
初めて自分の目が潤んでいくのが分かった。
「は…俺…情けないね……」
自嘲気味に笑って目を逸らそうとしたら、
そうさせないと言わんばかりにギュッと手に力を入れられた。
「我慢、しちゃだめ。
私の前では。」
そう言ってレオナはゆっくりと俺の唇を塞いだ。
「っ…まって…っ…待ってレオナっ」
ごめん…っ
と呟いてから真剣な目をする。
「俺さ…俺…っ…ごめん。
こんなことしといて…今更なんだけど…」
「…え?」
「レオナとは…その…っ…」
レオナは少し驚いたように次の言葉を待っている。
俺は逸らしそうになる目を懸命に動かさずにまっすぐとレオナを見つめた。
「こういう…関係にはなりたくないんだ…」
レオナが一瞬傷ついたような表情になった。
「…なに…それ…どういうこと?」
「や……その…だからっ…」
口ごもる俺にレオナは眉をひそめた。
「もう私とは……こういう関係…
続けたくないってこと?」
その言葉に、俺は小さく頷いた。
するとレオナは、また一瞬傷ついたように目を見開いてから、すぐに目を細め、冷たい視線を刺した。
「……そっか。わかった。
そうだよね。私たち…これ以上一緒にいない方がいいね」
「えっ…」
レオナは裸のまま起き上がって
布団を出ていこうとする。
その腕を俺は掴んだ。
「違うよ」
「……え…」
「違う」
レオナが訝しげに眉をひそめて振り返った。