第2章 encounter
俺たちにしか分かり合えないこと。
それがあまりにも多くて、
コソコソとだけど、会話は盛り上がった。
相変わらず笑顔はほとんどなかったけど。
10分ほど経ってから呼ばれて俺は席を外すことになった。
「また、来てくれる?」
「悪いけど、もう二度と来ないよ」
だろうね。
じゃあせめて…
「この名刺。貰って。よかったら連絡してよ。
別に君のこと、客にしようなんて思ってないから。」
じゃあなんで?
とは言ってこなかった。
代わりに少し笑ってくれた。
「…ふ。どーだか」
「無理だってこの10分で充分わかった。
今度はお返しにそっちの店へ遊びに行かせてもらうよ」
俺は僅かに残ったグラスの中身を一気に飲み干してから、レオナのグラスにカチンとつけて、そしてウインクした。
するとレオナも、お返しとばかりにウインクした。
あぁ。なるほど。
これがキミの必殺技ね。
さすが夜の嬢王。
普通だったらもう完全にコロッとイチコロだよね。
でも俺らの間だけでは完全にそれは無意味で、
全く意味を成さない。
それを、俺もこの子も分かっている。