第11章 hesitation ■
ーレオナsideー
「やっちゃん、龍也んとこ気に入ったなら、
私のことなんか気にせず転職しちゃってもいいんだよ?」
あんなことがあったから、やっちゃんは罪悪感を感じてしまっているのかもしれない。
とにかく私のそばを離れようとしないのだ。
龍ちゃんから聞く限りだと、
とても評判良く、本人も楽しめていた様子だったと聞いたから、全く問題はないはずだ。
「私のことなら本当にもう…大丈夫だよ?」
あれから及川さんには会ってないし、
今後会うこともないだろう。
示談誓約書を交わして、
そして振り込まれたお金はキッチリ1千万だった。
彼にとっては多分、そこまで大金でもないのだろうと思う。
そのお金は全て、とある団体へ寄付をした。
「いえ。僕はレオナさんのそばにいたいだけなんで!」
そう言われてしまうと何も言えなくなってしまう。
とにかく、やっちゃんまで巻き込んで私のほうがとてつもなく罪悪感を感じてる。
もちろん感謝もしているけれど…
あのときやっちゃんに電話をしなかったら…
どうなっていただろう。