第10章 thought ■
「じゃあな、龍也。
仕事頑張れよ。また連絡する」
「ああ。ありがとな。」
夏樹はニッと白い歯を見せて「任せとけ。」
それを最後に扉を閉めた。
レオナと一緒にもう一度ソファーに戻り、
タバコを取りだし彼女に渡す。
レオナは苦笑いしながらも、それを受け取ったのでいつもみたいにジッポで火をつけてやった。
「ありがとう龍ちゃん。すごく良い人だったね」
「フーっ…うん、良い奴でしょ、あー見えて。
それよりレオナ、本当は真珠ちゃんって言うんだね。」
レオナは少し照れたように目を逸らした。
「うん……。龍ちゃんは隼人って言うんだね」
「っえ?!なんで知ってんの?!」
「え?だって夏樹さん1度か2度くらいそう呼んでたよ?会話の最中に。…気が付かなかった?」
「まじか……全然…」
レオナは目を細めて少し笑った。
全然気が付かなかったな…
ついあいつとの議論に白熱してたみたいだ。