第2章 encounter
「ていうか、私の前では敬語なんて使わなくていいし、むしろ超テキトーでいいよ?疲れてるでしょ」
「ふふっ。ありがとう。やっぱなんでもお見通しだね。
にしても、今日はレオナさんのお客様は?同伴はそちらの方と?」
するとレオナは俺の方に僅かに身を捩ってコソコソと小声で言った。
「ん。まぁ…前は私の上客でもあったけど…あの子の売上が全然伸びなくてね…だからほら…うまく譲ってあげたってわけ。…で、今夜は私もついててあげないと。万が一羽目外したりしたら…ってこととか考えてね。私の今日の同伴は全部断った。」
そしたらここに来てみたいとか言い出すもんだから…
などと眉をひそめて呟いている。
だから酒も飲んでいないというわけか。
そしてものすごく冷静沈着に彼女らの様子をチラチラチェックしている。
すごい。さすがこの街一のNo.1。
やっぱり俺も含め、気の利かせ方や面倒見の良さはどの店のNo.1よりもきちんと細かくできている。
疲れるのも無理ないし、もうなんか…
ぜんっぶわかりすぎるから、こっちまで複雑な感情になるよ。
レオナは俺と話しながらも
常に隣を意識しているのがわかるし、
度々、この店の様子に視線を走らせている。