第10章 thought ■
ー龍也sideー
俺は内心、盛大に噴き出した。
「はじめまして。レオナさんですね。
私は西澤弁護士事務所の西澤夏樹と申します。
どうぞよろしくお願い致します。」
……誰だよお前!!
ワタクシって…!
まるで別人みたいにカッコつけて真面目ぶってる態度がおかしくてしょうがない。
お仕事スマイルもなかなか綺麗だけど。
でも、やっぱりレオナの容姿には目を奪われたらしくて、さっきから気付かれないようにチラ見しては火照った顔を隠すようにメガネを直したり明らかに鼓動が速くなっていることが伺える。
チラと俺と目が合うと、
"見たっていいだろ別に"
みたいなことを険しい顔をして伝えてくる。
なのにレオナに対しては、至極冷静沈着真面目君な態度でいるから俺はため息を吐くしかない。
夏樹は真剣な顔で計算機を叩いている。
「んー…そうですねぇ…
まぁ奴は不起訴処分で前科回避をしたいわけだから強手に出てもいいでしょう。」
そう言って計算機の数字を見せてきた。
「…350万…?
ちょい待てよ、夏樹。これのどこが強手なんだよ、もっと上げれるだろ。
だってあいつ一応中小企業社長なんだよ?」
「わかってるよ。でもこれかなり平均より上だよ?まぁこれは仮だけどさ。
レオナさん、加害者の年収はお分かりですか?
それによってここらへんは変化するので。」
また瞬時に表情を変えてメガネを傾けカッコつける夏樹にイラッとする。