第10章 thought ■
「…そうですか。寛容ですね」
「寛容…でしょうか…」
「はい、かなり。立派な犯罪レベルですから。
普通だったら地上波に流されるし投獄ですからねー。
それだけでは済まないですよー。社会的制裁に加え人生失脚なんてことも余裕でー…」
朗らかな笑みを浮かべながらそんなことをペラペラと喋り出す。
「おい、夏樹。」
「…あ、はい。オホンッ…
えっと、それで、具体的にはレオナさん。
向こうに提示する誓約書の内容を取り決めましょう。
それから示談金は幾らくらいの請求を考えてますか?」
えっ…
私は少したじろいだ。
全く考えていなかった。
「…い、いくらでも…」
「そういうわけにはいきません。
それから、請求しないというわけにもいきません。
相手に対する牽制にならないので。」
チラと龍ちゃんを見ると、腕を組んで険しい顔をしている。
「普通の傷害罪を例にとると、
平均相場はだいたい15万くらいだったっけ。そこから後遺障害慰謝料と精神的苦痛の慰謝料。
てなると…50万〜200くらいかな?でもレオナに対する今回の場合、異常性すごすぎて500万は軽く超えるはずだよね。当然。
なぁ、弁護士基準はどうだ?算出してみてくれ」
「ああ。」
夏樹さんは資料やら計算機を取り出した。