第10章 thought ■
ーレオナsideー
そこに立っていたのは、龍ちゃんと同じくらい背が高くて短髪の男性。
少し強面な感じの顔形でちょっと色黒。
黒縁のRay-Banのメガネを掛けている。
ニッと見せた白い歯が異様に目立っていて
一瞬、本当にこの人は弁護士なのか?
どこかのヤ…
「はじめまして。レオナさんですね。
私は西澤弁護士事務所の西澤夏樹と申します。
どうぞよろしくお願い致します。」
先に挨拶をされてしまい、律儀に深深と頭を下げられた。
「こ、こちらこそよろしくお願い致します。」
名刺を頂戴したけれど、こちらはキャバクラの名刺を渡すのもおかしい話だろうと思って渡さなかった。
第一印象とかけ離れた、
とても真面目な口調で、内面の良さ、頭の良さが伺えた。
龍ちゃんが私にアイスコーヒーをいれてくれた。
3人とも席に着いたところで、
さっそく夏樹さんが声を出した。
「だいたいのことは、龍也から聞いてます。
で、レオナさん、あなたは本当に示談で良いのですね?」
私は、はい。と小さく言った。
「事を大きくしたくないんです。
このまま穏便に収まってくれれば…」