第10章 thought ■
「裁判ともなれば、はたして勝てるのかどうなんだっつー強いプレッシャーをかけられるわけ。
しかも、法的トラブルに関わるような人のなかには、一癖も二癖もある人多いからさー。あーお前らも含めてね?
だからさ、自分の主義主張に絶対の自信をもっていたり、度の超えた要求をしてくる人も多くてさー、いやんなっちゃうよね。」
夏樹はまだ喋っている。
相変わらずお喋りな奴だ。
まぁ結局はただ愚痴が言いたいだけか。
「しかも知っての通り、思ってたより全然儲からないのよ。
政府の計画通り、司法試験の合格者が増えて、それにつれて弁護士数も増え続けてるからさぁ、その一方で訴訟件数は減少傾向なんだぜ?
てなったら必然的に弁護士間の顧客獲得競争が激しくなるだろ?だから少ない仕事を大勢で取り合うようになった結果、弁護士の平均年収はここ10年で約半分ほどに落ち込んでんだよ、知ってたか?」
「・・・」
あー、こいつまだ喋るのかよ。
めんどくせー。
早くレオナ来ないかな…
「弁護士は個人の実力がものをいう厳しい世界だからさ、ろくに経験もないまま裁判で勝てるほど甘くはないわけ。
とくに最近なんて、さっきも言ったけど弁護士が急増して就職難に陥った結果、若い弁護士が独立するケースが増えてるぽいけど数年ももたず廃業となるところ多くてまぁ当たり前だよね?
だから俺は親父の事務所で働いてんだけどさー。
請求退会者、つまり弁護士を自主廃業する人の統計をみても、司法制度改革前は年間50人に満たなかったものが、近年では年間400人ほどに膨れ上がってて、まぁ廃業する弁護士の多さは、そのまま弁護士の供給過剰」
ピンポーン
あぁ!よかった!
ようやく来てくれた!!!
俺はすぐさま立ち上がった。