第10章 thought ■
とりあえず夏樹に録音を聞かせた。
聞き終わったあと、やっぱりこう言ってきた。
「隼人…。お前さ、そのレオナ嬢とは友達って言ってなかったか?」
「ああ。言ったよ。」
「いや、言ったよじゃなくって…
録音ではこの男に恋人だって言い張ってるじゃねえか。一体どういう関係なんだよ。警察にはなんて説明してんの」
「どういう関係かなんてそんなに重要か?
警察には同業の友達で通してあるよ。
及川に対しては、彼女を守るためにこう言って牽制しただけ。」
俺は正直に言った。
でも夏樹は不敵な笑みを浮かべだした。
「……なんだよ」
「ククッ…いや?」
「あ?なんだよ。言いたいことあんならハッキリ言えよ」
すると夏樹はペンをクルクルと回しながら言った。
「なんで女物の化粧水やらシャンプーやらがあるんだ?」
「おまっ!いつのまにバスルーム見たんだよ!
つぅか、女物使うのはホストにとっては普通のことなんで。」
「歯ブラシ2個使うのも普通?バスローブあんなに必要か?下駄箱の中のヒールとか、クローゼットの中のワンピースとか下着とか……あ!!まさか隼人お前っ!ちょっと見ない間に女装に目覚めたか?!まぁお前なら似合うかもだが」
「おいおいおいおい!!!
んなわけっ…ぁあーーもうわかったわかった!」
俺はわしわし頭をかいてため息を吐いた。