第10章 thought ■
「それよりお前、いつまでホストやるつもりだ?
もう充分稼いだろ。もう一度勉強し直して弁護士目指せよ。うちで雇うから。」
「はっ。嫌だね。つーか、稼ぐためにホストやってるわけじゃねーし。」
「…??…え、どゆこと?じゃあなに?」
ポカンとした顔をしている夏樹の顔に煙を吹きかけてから俺は客にするそれのようにウインクをした。
「暇つぶし♡」
「けほっ、けほっ…うっ…
はー、あっそ。勿体ねぇような勿体なくねぇようなだな。
お前は俺と同じくらい頭良かったのに。
て言っても、そのルックスでホストやんないのも勿体ない気もするし…とにかく複雑な心境だよ」
そう言いながら夏樹はアイスコーヒーのグラスを持ったまま突然立ち上がり、俺の部屋をウロウロし始めた。
「ほんっとすっげぇよなぁ…
昔来たマンションよりすげえマンションだし…
おい、こっからの眺め!
建物も車もなにもかもがまるでゴミのようだ!
あはっ!このセリフなんだっけ?確かジブリの…」
関係ない話が始まってしまった。
「ホントやべえよなお前らの世界どーなっちゃってんの
俺キャバクラすら行ったことないし…
で、ここ家賃いくら?」
「俺のこの階は60万くらい。
行ったことないなら今度一緒にレオナの店行く?」
「ブシューーーっ!!!ろっ60万て!!」
夏樹が盛大にアイスコーヒーを噴き出した。
「おいっ!おまっ!ふざけんな!
この絨毯40万したんだぞ?」
「ふええええっっ!?すまん!マジすまん!
弁償だけは勘弁!」
「はっ、別にいーよ。じょーだん。」