第10章 thought ■
やはり警察は示談を進めてきた。
私と及川さんの間柄を考慮すると、
本来ならば大きな犯罪でも、今回のことに関しては諸々の犯情があるだろうということ。
現場の状況が証拠として何かあるわけではないし、この仕事である私がそもそも誘っていたような節はあるのではというニュアンスを醸し出された。
しかも最初は私も諦めてシャワーを浴びて、無抵抗だったわけだ。
本人も反省しているし…
等等。
まぁ言いたいことはわかるし
そうなるような気はしていたし。
私も事を荒立てたくない。
及川さんのことは許せないのは確かだけど、
今までさんざんお世話になっていたのは事実だし、
実際仕事柄、彼を掌で転がしていたような立場にいたのは私だ。
どうにか丸く平和に収まれば、
私はそれでいい。
そう思えたのはきっと、
龍ちゃんが1発殴ってくれて、
言いたいことを言ってくれたおかげだろう。