第10章 thought ■
店を休むと伝えて、
数時間寝て、起きた。
まだ隣で寝息を立てているレオナの目にはいくつも涙の跡がある。
「… レオナ…」
俺だけが知ってる、
無防備で愛しい横顔。
"私、もう独りが耐えられなくなっちゃった…
待ってる間もずっと…寂しくて辛かった…
だから…さ…
責任…取ってよ…"
なぁ…俺もだよ…
俺もレオナに責任取って欲しいよ。
それくらい、君の存在が俺の中で
日に日に大きくなってるんだ。
それに気付かせてくれたのは
ある意味あの男だ。
気付きたくなかったけどね。
だってこんなの、俺らしくない。
一人の女に執着するなんて。
俺は…
龍也…なのに。
バスローブを羽織り、
タバコを吸いながらガラスウォールの下を見下ろす。
玩具、ガラクタのように、
建物も道路も車もなにもかもが細かく小さく見える。
空は灰色に曇ってる。
今にも雨が降りそう。
「… レオナはこの世界…どう思ってる?」
またこんな目に遭わない保証はどこにもない。
多分俺はまた守ってやれない。
そばに居てやれない。
だって俺は…龍也だから。
ガラスに煙を吐いて波打つ心臓を抑える。
「それでも…やってけるか?」
もし限界だったら、そう、言ってもいいんだぜ。
まぁ、何があっても絶対言わないんだろうけどな。