第10章 thought ■
ガッと龍ちゃんの襟元を強く掴んだ。
「龍ちゃん…抱いて…」
龍ちゃんが驚いたように目を見開いている。
私の涙をジッと見つめて。
「言ってたじゃん…
苦しい想い出全部俺が上書きするって。」
「…っ、レオナ」
「私、もう独りが耐えられなくなっちゃった…
待ってる間もずっと…寂しくて辛かった…
だから…さ…
責任…取ってよ…」
彼は悲しげに目を細めてゆっくりと腕をのばし、
私の頬に触れ、涙を拭った。
「何黙ってんの…私をこんなに弱くしたの…
あなたなんだからさ…っ…」
「…うん」
「…早く…早く私を抱っー…」
叩いていた両手をグッとソファーに貼り付けられ
噛み付くような口付けを落とされた。
私は手を振り解いて彼のシャツのボタンを開けていく。
そこから香る彼の匂いは
泣いて鼻がつまって
わからなくなっていって。
でも
この人は
今はこうして私に触れていて
声が吐息が体温が匂いが鼓動が
全部ここにあって。
それでも全然足りなくて
「龍ちゃっ……早…く…っ…」
早く埋めて
早く
スキマがないくらいに
奥まで早く
私の中で
脈打ってほしい
いつまでも。