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夜街の陽炎 ~No.1の男女の恋~

第9章 resist


「…うっ…ゴホッゴホッ…
あぁ…僕はっ……薬で彼女の自由を…奪った…よ…」


「…で?」


「…ごほっ…で…っ…ホテルに連れこ…んでっ…」


首元を抑えながら口を噤んだ及川さんの服を
龍ちゃんが引きずるようにして強く掴んだ。


「っ……でっ…犯し…た……」


「……どんなふうに。」


そこからの話を、
私たちはただ黙って聞いていた。

耳を塞ぎたくなるような思い出したくないその話を、なぜわざわざ繰り返させるのかと思ったけど、

そのあとにその意味を理解した。



「…お前に会った時から全部、
録音済だから。」


龍ちゃんはポケットからスマホを取りだしてそう言い放った。

及川さんはハァハァと荒く呼吸をしながら顔面蒼白にしている。


「お前…二度とレオナに近付くなよ。
いいか、これは警告だ。」


胸ぐらを掴んでそう言い、またすぐに乱暴に離した。


「ヤマトくん、今すぐ警察呼んで」

「っあ…は、はい。」


やっちゃんが電話をかけた。


「とりあえずアンタさ、レオナに謝罪しろよ」


冷淡な声で言われた及川さんは、私に視線を移して静かに口を開いた。


「… レオナちゃ…
頼むから…嫌いにならないでくれ…」


「はぁ?この期に及んでまだこいつ……
おいそうじゃねぇだろ」

「龍っ…も、もうっ…いいから…」


もう視界にすら入れたくないし、声すら聞きたくない。
背を向けてその場を離れ、しゃがみ込んだ。
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