第9章 resist
「及川さん久しぶりっ!
あれからダーツの腕は上がった〜?」
俺はできる限り殺気を押し殺して声をかけた。
及川は氷のように冷たい目で俺を一瞥するとそのままの表情で冷淡に言った。
「君、やっぱりここであの子と同棲してるのか?
それとも、こうやっていつもあの子を待ち伏せしてるのか?」
「…はぁ?」
「あの子と付き合っているのかセフレなのか…彼女はどちらも曖昧にぼかしたけど、君は一体彼女のなんなんだ?」
「……おっさん、何が言いたいの。」
「ならばハッキリ言うが、レオナちゃんには関わらないでくれ。」
ちょっと待った待った…!
なにこいつ?!
イカれてんの?!
「おいおい、笑わせんなよ。それ俺のセリフなんだけど?マジで頭大丈夫?お前さぁ、警察から事情聴取受けたよな?一体どーゆー言い逃れしてきて、どの面下げて今ここに立ってんの。」
及川は目を細め、ふっと笑った。
「僕ほどの者になれば、そんなこと容易いよ。
僕は君たちみたいなろくでもない奴らと違って社会的信用があるんだ。」
俺はポケットに手を入れ気付かれないようにスマホを操作しながら、ゆっくりと及川に近付いた。
及川は全く怯むことがない。
今にもその面を殴ってやりたい衝動に駆られる。