第9章 resist
暖かい手で手を握られ、暖かい手で背中をさすられ、
2人の底知れぬ優しさに包まれながら、私は気がつくとゆっくりと話し始めてしまっていた。
それを聞き終わった頃には、龍ちゃんが醸し出すオーラが別人のようになっていた。
「あいつ…俺に嫉妬…して?
俺を利用…して…
そんなことでレオナを脅して…
こんなことまで…して…」
呟くように低く言うその言葉に、私は少しの悔恨の感情が渦巻いてしまった。
「…言ってくれてよかったのにレオナ…俺とのことなんて周りに知れたってなんだって…。いや、言ってもあいつは同じことをしたか…。くそ…許さねぇあいつ…俺の…」
ブツブツ何かをつぶやきながら、
龍ちゃんが私から手を離して頭を抱えだした。
「ごめん…龍ちゃ」
「レオナが謝ることじゃねぇだろ。
…よし、決めた。」
え?
私が龍ちゃんの顔を覗き込むと、鋭い眼光を光らせたまま顔を上げた。
「告訴する」
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