第9章 resist
けれど、やっぱり龍ちゃんは引き下がらなかった。
「……本当か?ちゃんと全部話した?
話さなきゃダメだよ。」
「… レオナさん?」
顔を上げて横を見ると、真剣な龍ちゃんと、不安げに歪んだやっちゃんの表情が瞳に映り出す。
「まぁまぁ…君たち夜の世界でしょ?
相手がお客さんならばこういった事が起こるのは特段不思議なことでもないし、それもリスクの上の商売であるとも言えるし┄┄┄」
男性警官が苦笑い気味で喋りだした。
その内容に龍ちゃんの表情が変わった。
「あ゛ぁ?…何言ってんの、あんた。」
鋭く殺気立った視線で睨まれた警官はビクッと明らかに動揺したようだった。
私もこんな龍ちゃんの表情を見るのは初めてで思わず強く彼の手を握ってしまった。
それに気がついたように彼の表情が戻り、また私を見つめた。
「言って。レオナ。大丈夫だから。」
優しげに細まる、私をいつも安心させる笑みを見た途端、私は涙が溢れてしまった。
「…あぁ…っ… レオナさんっ…」
龍ちゃんの隣にいた やっちゃんが席を立って直ぐに私の元に来てしゃがみこみ、私の背中をさすってきた。