第9章 resist
龍ちゃんとやっちゃんが、私が電話してから駆けつけ、私を見つけた時の状況などを細かく説明している。
その間、私の膝の上で龍ちゃんは私の手をずっと握っていてくれた。
「その加害者の方と、あなた方の間には接点はあるのですか?」
龍ちゃんはダーツバーで一度会っていて会話したこと。
やっちゃんは今までしょっちゅう及川さんを車で送っていたことなどを話した。
「被害者の方は…その方に何か恨まれるようなことはとくに無いと仰っていましたが、あなた方お2人も、特には無いということでよろしいのでしょうか?このような事件の場合、第三者や身近な人間への当てつけという可能性もあるので…」
その言葉に、龍ちゃんの手がピクっと動いたのがわかった。
そして私の顔を覗き込む。
「… レオナ…何かあいつに言われたりしなかった?」
さすが彼だ。
察しや勘が良すぎて私は悟られないように俯いた。
及川さんは、私と龍ちゃんとの関係についての脅し文句で迫ってきたのだ。
私が何も言えなかったのをいいことに。
でもその話は警官にはしていないし、
隠すつもりでいる。
だから…
「なにも…」
そう言った。