第8章 cruelty ■
「僕も行きます!
明日は休みにしてあったんで。」
そう言うヤマト君の真剣な瞳を見つめる。
一瞬躊躇したが、好きな女に何も出来ないという無力さを感じるほど、男にとって辛いことはないだろう。
だから承諾した。
明日、レオナの体調が落ち着いた頃に連絡すると伝えて。
レオナを一旦俺の部屋に連れ帰ってバスローブに着替えさせ、ベッドに寝かせた。
俺は濡れたスーツを脱ぎ捨ててシャワーを浴びた。
「… レオナ…少しは身体、落ち着いた?」
レオナは目を瞑ったままこくりとひとつ頷いた。
額に手を当てるとまだかなり熱い。
「ねぇ、一応聞くけど…
あいつに…中に出されたんだよな?
多分何度も……だからその…」
「大丈夫…ピル飲んでる…から…」
聞く前に即答された。
俺はホッと胸を撫で下ろす。
布団の中で、たまらずギュッと抱きつつんだ。
「怖い思いしたね。もう大丈夫だよ…
何も心配いらない…俺もヤマトくんもついてるから」
かわいそうに…
どんなことをされたかなんて想像がつく。
想像したくもないけれど…。
「龍ちゃ…」
「うん…」
ギュッと胸元のバスローブを掴まれた。
その手を握り返す。