第8章 cruelty ■
「…抱いて…よ…」
「・・・」
「上書きしてくれるって…言った…」
俺は深く深呼吸してからレオナに覆い被さった。
「でも…疲れてるだろ今は…」
「平気…」
蚊の鳴くような小さな声は震えていて、
胸が締め付けられる思いがした。
潤んだ目からは涙がこぼれ落ちそうで…
あの男への憎悪がふつふつと湧いてきた。
「くそ…あの野郎…殺してぇ…」
つい心の声が漏れてしまった。
「いいから早く…抱い」
俺は悲痛の声を漏らすその唇を塞いだ。
舌を割り入れ、奥からレオナの熱を吸い上げながらバスローブの中に手を這わす。
柔らかい乳房を揉みしだきながら、何度も角度を変えて舌を絡ませた。
「ん…っ…は…んんっ…」
「…っ… レオナっ…ごめん…
俺も…優しくできそうにないっ……」
痣の着いた首筋に吸い付き、
その上からもっと大きく濃い痣を付けた。
ぜんぶ…
ぜんぶ…
どこもかしこも俺で満たして
俺で上書きしたい…
レオナ…
「はぁっ…んっ…やぁ…っ…」
「痛い?…ごめんな…」
レオナの全身に噛み付くように吸い付いていく。
この痣も…
この痣も…
全部、
俺の痣に塗り替えるね…