第8章 cruelty ■
「レオナさんっ!聞こえますか?!」
レオナは火照った顔のまま荒く呼吸をしている。
俺はしゃがみこんでレオナの頬を触った。
「あっついな……。」
「っ!…龍也さんそれなんですか?!」
「ん。多分これを飲まされたんだろな。
なんとなくわかるだろ君でも。」
ヤマトくんはレオナを抱き寄せたちまち目を潤ませた。
「一体誰がこんなことっ!… レオナさんっ…
教えてください!誰といたんですか!」
「落ち着けヤマトくん。
レオナ?俺わかる?病院行く?」
レオナはゆっくりと首を振る。
虚ろな目の下にはたくさんの涙の跡があった。
「…わかった。とりあえず身体洗おうか。
ヤマトくん、レオナをかして。」
「え…龍也さんが…やるんですか?」
「うん、そうだよ。なんか文句ある?」
言葉を探しているヤマトくんからレオナを抱えあげ、俺は素早く浴槽へと運んだ。
自分のスーツも脱がないままレオナを抱えたままシャワーをかけていく。
俺は思わず顔を顰めた。
吸いつかれたであろう鬱血痣が無数にある…
誰だよ…
どこのどいつだよ…
俺の手が無意識に震えていることが分かる。
今までにないくらい大きな怒りが体の奥底から湧き上がってくる。
この震えをどうにか止めたいが、コントロールが効かない。