第8章 cruelty ■
ー龍也sideー
ホテルの部屋はカギがかかっていなかった。
嫌な胸騒ぎ。
俺は終始顔を強ばらせているヤマトくんを隠すように前へ出た。
可能性は低いがもしも中にまだ男がいたら…
今のヤマトくんだと何をしでかすか分からない気がしたからだ。
俺は焦る鼓動を落ち着かせて、ゆっくりと中に入った。
「…… レオナ。いるかー?」
室内はだいぶ広い。
大きなベッドのある方まで行って、その光景に驚愕する。
「… レオナさん…!!… レオナさっ!!」
ヤマトくんが瞬時に駆けつけていく。
レオナは自分の上着を胸元で握りしめたまま全裸でベッドのそばの床に倒れていた。
「レオナ!!おい、何があった?!」
そう言いつつも俺は目を走らせる。
明らかに凌辱されたようなベッドの乱れ具合。
そこら中に放り投げられているレオナの服や下着。
俺はベッドの上に転がっている小瓶を手に取った。
「マジかよ……」
これは絶対におかしな薬だ。
妙薬みたいな類の何か…
ヤマトくんはぐったりとしているレオナに布団を引っ張って裸体を覆っている。